ヴァイオリンと23歳

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■  ヴァイオリンちっぷす
色々調べてみました。
 僕が先生に教わったことや、他の資料などで調べたことを中心にまとめてあります。
 姿勢や奏法に付いては、先生や教室によっていろんな指導の流儀や方針がありますので、ここに書いてあることと、先生に言われたり他の資料で得られることとは、違っている可能性は多分にあります。全てを鵜呑みにしないで、参考程度にしてください。
 一番良い方法は、やはり自分の先生に就いて、細かい適切な指示を仰ぐことでしょう。



−  目次  −
  1. 雑学編
  2. 基礎知識編
  3. 購入編
    • 楽器の選択について - 失敗しない選び方
      • 楽器の購入時期と方法
      • 工場製ヴァイオリン
      • 一部工場製、もしくは総ハンドメイド
      • 自作
      • サイレントヴァイオリン・エレキヴァイオリン
      • 弓について
      • 分数楽器について
      • まとめ
    • その他必要なもの、あると便利なもの - わかる範囲で標準的な価格も併記しています
      • ケース
      • 松脂
      • 肩当て
      • 音叉、チューニングパイプ(ピッチパイプ)
      • メトロノーム
  4. レッスン編
    • レッスンについて - 自分に合った方法を見つける
      • 教室の見つけ方
      • グループレッスンと個人レッスン
      • レッスンの進み方
      • 音楽の経験や知識は必要か?
      • 独学について
  5. 練習編
  6. 付録


−  1. 雑学編  −
■  ヴァイオリンの歴史
擦弦楽器の生い立ちや、ヴァイオリンの進化について
▼ 起源
 弦を弓で擦って演奏する楽器、という意味である擦弦楽器の起源は諸説があり、古くは11世紀後半の聖書の挿絵に擦弦楽器(弓奏弦楽器、レベック)を演奏している姿が描かれています。また、「起源の地」だけをとっても、エジプトやスペイン、インド、アラブである、というように様々です。そして現代においても、それらの国々を含めた世界各国に、伝統的な擦弦楽器が残されています。
 そして、それらの内のいずれかからヴィオール属(3度間隔、もしくは4度間隔で調弦をする楽器、4弦以上のものもある)、次いでヴァイオリン属(5度間隔で調弦をする楽器、4弦)という風に進化して、今日の形を成したとされています。

 さて、前の段落の最後に出てきた、「ヴァイオリン属」と呼ばれているヴァイオリンの原形は、15世紀ごろに現れ、17世紀から18世紀ごろにかけて完成しました。この時期には、イタリアのクレモナ地方で名工、アマーティ、ストラディバリ、グァルネリなどが登場しました。彼らによって作られた、現在のヴァイオリンの原型となる楽器が「バロックヴァイオリン」です。
 ちなみに、日本に最初に伝来してきたのが16世紀の終わりだそうですから、その日本初のヴァイオリンも「バロックヴァイオリン」に当たります。

▼ 音楽の進化と楽器の進化
 発生初期である16世紀頃の音楽といえば、主に、教会やサロンといった割と狭い空間で、小編成での演奏という形式のものでした。
 17世紀に入ると、舞台の手前で演奏するオペラ形式が出現しました。この頃から、音楽は「王侯貴族のたしなみ」から「庶民の娯楽」という文化として浸透してゆきます。当時はまだヴァイオリンは主力ではなく、ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)が弓奏楽器の花形でした。

 その後、その器楽形式の分岐・発展とともに、オーケストラとしての編成は、大きく華やかなものになってゆきます。19世紀に入る頃には、ホールなどの広い場所において大編成で演奏する、という傾向が強くなりました。
 このような広い空間の隅々まで音を通したい、大規模な編成で合奏したい、等といった要求に応えるためには、音源自体が大きな音量と、安定した音程を出す必要がありました。そのため19世紀前後には、楽器の使用材料や構造など、バロック期のものよりも、より強くムラの無い音が出せるように改良が加えられました。また、この改良の時期から、弦楽器演奏の主役はヴィオール属からヴァイオリン属の楽器へと推移してゆきます。
 この改良以前のバロックヴァイオリンと区別するために、この改良以降の楽器および弓を、「モダンヴァイオリン」と呼んでいます。

 現代においては、古楽と呼ばれる演奏形態や、室内楽の楽団などではバロック式の演奏スタイルにてバロックヴァイオリンを用い、交響楽などの場合はモダンヴァイオリンを使う、などの様に演奏される場合が多くなっています。

参考資料
  
What is Baroque Violin?
  コントラバスの起源
  オーケストラ.han
  世界の音楽と楽器
  講談社現代新書「音楽のヨーロッパ史」
  レベック
  ヴァイオリンの親戚ヴィオール族
  Baloque Violin
■  楽器の様々な種類とその特徴
ヴァイオリンの系統について
 色々な国・地域・製作者・年代などの条件によって、音色や形などの特徴が異なります。そのうちで代表的なものを取り上げて、紹介します。
 この部分は、現在調査中です。
▼ クレモナ派(イタリア)
・  アンドレア・アマティ(1525〜1611)
 装飾を廃し、実用的な楽器を完成させたクレモナ派の創始者。音色は甘美で、弾きやすい。

・  ヨーゼフ・グァルネリ()
 力強さに特徴のある音色。

・  グァルネリ・デル・ジェス()
 中音域に力強さのある音色。がっしりとした外観。

・  アントニオ・ストラディバリ(1644〜1737)
 高音域での伸びと、繊細で透明感のある音色。

参考資料
  
Shimamura Music バイオリン 読みもの
  琴のページ
  ストラディヴァリとグァルネリ
−  2. 基礎知識編  −
■  楽器の各部分の呼称
楽器を構成している様々な部品
▼ 本体
・  ペグ
     ペグ周辺の写真
 調弦(音程の調整)をするためのつまみです。各弦に1対1で対応し、計4つ付いています。緩めることによって音程を下げ、締めることによって音程を上げます。

・  テールピース
     テールピース周辺の写真
 弦の末端を繋ぎとめる部分です。必要であれば、この部分にアジャスターを付けます。

・  エンドピン
     エンドピン周辺の写真
 この部品とテールピースとの間に、ナイロンやビニールなどで作られた強い紐を引っ掛け、それによってテールピースを支え、固定するためのものです。楽器の横板の一番手前側(構えたときに、首に付く部分)に付いています。

・  指板
 ネックの上側に付いていて、弦を左手の指で押さえる、黒い湾曲した板です。

・  ネック
 ペグで弦を結びつける台となる部分と、指板を支える部分です。胴の部分の先から延びています。ネックの先には大抵、渦巻き状の飾りの彫刻(スクロール)がしてあります。

・  表板、裏板(響板)
     表板表板の写真      裏板裏板の写真
 表板は駒からの弦の振動を受け取り、裏板は表板・横板と合わせて音を響かせる共鳴箱の役割をします。表板にはf字孔と呼ばれる、独特の形状の穴が左右対称に、2つ開いています。
 裏板はちょうど中央で2枚の板を張り合わせています。木材の材質の切り出し方によって、その表面には様々な木目模様が見られます。

 表板は松、裏板は楓(カエデ)で作られていることが多いです。楽器によっては様々な色合いをしていますが、これは木の本来の色のほか、塗られているニスによっても違ってきます。

・  横板
 表板と裏板をつなぎ合わせている側面の板です。数個の部品からなっています。

・  駒
     駒周辺の写真
 弦の振動を表板に伝える役割をします。音の響きを決める部品です。これの位置や形状、高さ、材質などによっていろいろな音に変化します。

・  魂柱
     f字孔および魂柱周辺の写真
 
表板と裏板の間の、楽器の内部に立っている、主に松製の棒で、E弦のほぼ真下に配置されています。f字孔から楽器の内部を覗けば、表板と裏板の間に垂直に立っているのが確認できます。ヴァイオリンの音色を決定する部品です。

・  バスバー(力石)
  表板の裏に、弦に沿うように張り付いている棒です。G線の下辺りに付いています。これもヴァイオリンの音色、特に名前どおり低音の性質を決定する部品です。

・  アジャスター
     アジャスターの写真
 全く付いていない場合も、全ての弦に対して付いている場合もありますが、標準的な楽器にはE弦のみについています。これは、調弦(音程の調整)をするための部品です。ペグ同様、ネジを緩めたり締めたりして音程を上下させます。ペグの場合よりも音程を微調整することが可能です。
 取り扱いの注意としては、ネジを締めすぎた場合にアジャスターの底の金具が表板に接触し、傷をつけてしまうことがあります。弦を張り替えるときなどに、アジャスターと表板の隙間が適当に開いているかチェックすると良いでしょう。

▼ 弓
・  棹
 弓の性質を決める一番重要な部品です。材質によって、重さやしなやかさ、ばねの強さ、反応の速さなどの色々な特徴が決まります。
 棹の部分は、主に松で作られています。最近は、カーボンファイバー製のものなども生産されているようです。
・  フロッグ
 弓の毛の手元側の一端を固定する部品です。
 フロッグは、主に黒檀で作られてます。鼈甲(べっこう)製の物もあります。フロッグの底の部分には、貝が貼られています。これは装飾と蓋の役目を兼ねていて、この部分を開くと、弓の毛の交換が出来るようになっています。また、フロッグの側面に円形の装飾がされている物もあります。
・  ねじ
 棹の、手元側の終端に付いています。緩めたり、締めたりすることによってフロッグが移動し、毛の張り具合を調節します。このネジの終端部分にも、円形の貝などの装飾が付いたものがあります。
・  毛
 馬の尻尾の毛から出来ています。別に他の動物の毛でもよさそうですが、馬の毛は擦弦楽器の音色を引き出すのに丁度都合が良く、更にモンゴルなどで豊富に入手できるためだそうです。毛が白いのは、脱色しているためで、バロック用の弓などには毛を脱色せず黒いままのものがあります。
・  巻き線
 弓を持つ部分に、滑り止めの役割をするために巻いてある、細い金属線です。
・  松脂
 部品ではありませんが、弓の一部でもあり、とても大事なものです。
詳細はこちらをご覧下さい。

▼ 弦
 芯線と、その周りに巻いてある、スチールやアルミ等の巻き線から成ります。芯線の材質の違いにより、ガット弦とナイロン弦とスチール弦とがあります。この他に、芯線が特殊な繊維で作られた製品もあるようです。

 スチール弦が一番大きい音が出ますが、響きが単調で味気ない音だという人もいます。ガット弦は繊細で柔らかい音が出ます。ナイロン弦は両者の中間的な音になります。それぞれ音質や音量が異なるので、一種類の銘柄の弦をセットで揃えた方が無難でしょう。

 ガット弦は弦を張ってからもしばらくは伸びるため、音程が安定するまでに数日から一週間ほど掛かります。ナイロン弦やスチール弦ではこの現象が起こりにくいです。

 調弦に慣れていない初心者の方には、音程がわりとすぐに安定するナイロン弦がお勧めです。また、古い楽器の場合には、負担となるのでスチール弦は使用しないほうがいいです。

■  音の鳴る原理
弓が動いて音に成るまで
 まず、
弓の毛にある目に見えない程の毛羽立ちと、それに絡み付いている松脂が、微細な凹凸を形成し、それが弦を擦ることによって弦が振動します。
 音程の高さですが、これは弦の長さと反比例します。つまり、弦の途中の位置を指で押さえて弾くと、押さない状態よりも音程が上がります。ちょうど2分の1の長さで、1オクターブ高い音になります。
 まだこの時点では、弦に対して横向きの振動しかしていないので、音量は小さいです。

 次に、弓と松脂によって作られた弦の振動は、へと伝わります。駒によって、弦の横向きの振動が縦向きに、つまり駒に対して上下方向の振動へと変換されます。この構造によって、弦の振動が力強いものとなります。

 この上下方向の振動は駒を伝わり、結果として、駒の接地している表板にまで伝わります。また、G弦真下付近の表板の裏側にはバスバーがあり、表板での低音域の振動を強調させる役割を果たしています。

 表板と裏板の間には魂柱があり、これが裏板にまで振動を伝え、裏板を振動させます。魂柱の太さや硬さ、木材の種類、切り出し方によって、どれだけ裏板に音が伝わるかが変わってきます。

 そして、表板と裏板が共に振動することによって、それらが共鳴胴としての役割を果たします。共鳴胴といっても、完全に閉じた箱では音がこもってしまうため、f字孔によって余分な空気を逃がしています。

−  3. 購入編  −
■  楽器の選択について
失敗しない選び方
▼ 楽器の購入時期と方法

まず最初に。実際の商品が目の前で確認できないような販売形式での購入(通信販売、インターネットのオークションなど)はやめましょう。

 楽器は、ヴァイオリン教室などにしばらく通ってから、先生にお任せして選んでもらうか、先生と楽器屋さんに一緒に行って選ぶのがベストだと思います。ここでは、音の違いがわかる人が一緒についている、というのがポイントです。
 もちろん、既に音色の違いが分かる耳を持っている方なら、単独で店を回って選ぶ、というのも良いでしょう。

 レッスンに通う場合は、楽器を持ってないうちは練習用の楽器を貸してくれる教室という所もあります。この場合当然、購入するまでは自宅で練習できない、ということになります。しかし、何も知らないうちに自分に合わない楽器を選んでしまって、後悔するよりは良いと思います。

 とにかく習う前に楽器を揃えたい、もしくは教室に通える環境ではない、といった場合なら、「ヴァイオリン(弦楽器)専門店」というのを職業別の電話帳で探して、そこに何度か出向いて相談してみると良いでしょう。
 逆に、ギターや他の楽器等も扱っている、普通の楽器屋さんで購入するのは、なるべく避けたほうが良いです。ややもすると、店員さん自体楽器のことをわかっていない場合さえあるので、扱いが雑だったり保存状態が悪かったりします。
 ただ、比較的安く手に入る工場製量産品の練習用楽器で良い場合は、こういう店でもあまり問題は無いと思います。

 楽器の保存状態や今後のサポートも考慮すると、「ヴァイオリン(弦楽器)専門店」で、楽器の調整・修理なども扱っているというのが、より信頼できる店の条件だと言えます。

▼ 工場製ヴァイオリン
 スズキヴァイオリンやカールヘフナーなどがこれに該当します。
 ちゃんとしたメーカーのものであれば、工場で大量生産されるので、どれを選んだとしても大抵音質は変わりません。おおむね値段相応の音が出るようです。ただ、たとえ機械生産であっても、工程等によって質のムラは少なからずあるので、弾いてみないと判らないときもあります。

 五万円程度のモノは、接合には膠(にかわ)ではなく接着剤などを用いて製作していたりもするので、過って壊してしまうと修理が効かないことが多いです。運良く修理や調整が効いたとしても、元々の楽器の値段以上に費用が掛かってしまうことも多いのだそうです。
 はっきり言って、この価格帯のヴァイオリンはお勧めできません。ラジオなど単に聴くだけの物と違って、自分で操って演奏するのですから、楽器の形をしていて音が鳴りさえすれば良いというのは大きな間違いです。質の悪い楽器や弓をずっと使いつづけるメリットは一つもなく、変な癖がついてしまうと言う悪影響があるのみですから。

▼ 一部工場製、もしくは総ハンドメイド
 少々値段が張りますが、今後長く付き合うつもりなら、一部分の部品のみが工場で作られているものか、余裕があれば総て手作りの楽器をお勧めします。

 しかし、どれでもいいって言うわけではなく、この場合も実際に自分で音を出し、そして誰かに演奏してもらってその音を聴き、理想的な音の出る楽器を選びましょう。
 自分で弾かずに、音を出してもらうということの利点は、耳の傍で響いている音と、実際に空間に広がる音には大きな違いがあるためです。もちろん、自分で楽器を間近で見て、自分で弾いて、その楽器の感触を確かめておくことも大事なことです。

 これらの場合、ヴァイオリンの音に対して耳が慣れていないと、どうしても音色の違いなどがわかりません。音の違いが分かるようになるまで、ある程度生でいろいろな演奏を聴いて耳を鍛えてからにするか、できるなら音の違いのわかる人に付き添ってもらいましょう。

▼ 自作
 まず、製作の前にいろいろと特殊な工具が必要です。既にある程度加工してあるものでも、日曜大工用品があれば出来る、というものではありません。
 「製作キット」という言葉の響きから、工作の腕に自信さえあれば組み立てられそうですが、ヴァイオリン工房の職人がみっちり取り組んだとして最低でも2ヶ月掛かるといいます。趣味でやるとなると、実際には1日何時間も作業はできないでしょうから半年とか10ヶ月とか掛かってしまうわけです。
 そして、組み立ててニスを塗ったらそれで完成、という訳でもありません。最後にして最も重要なのが「楽器の調整」です。これをおろそかにすると、折角外面を丁寧に仕上げていても、いい音が鳴らない楽器になってしまいます。ちゃんとした調整をしてくれる職人さんや楽器店が身近にある、という環境なら、仕上げた後はそこに依頼して調整してもらう、という手もあります。

 良い楽器を手に入れられるかは別にして、楽器の仕組みについて勉強するには打って付けだと思います。ただ、演奏用として考えるなら、製作に掛かる期間とコスト、そしていい音が鳴る保証がないというリスクを考えると、素直に楽器店で並んでいる既製の楽器を選ぶ方が無難でしょう。

▼ サイレントヴァイオリン・エレキヴァイオリン
 これら電子回路を用いた楽器に関しては、造りが普通の楽器とは全く違います。結論から先に言うと、自分の最初の楽器として購入することはお勧めできません。通常の楽器である程度弾けるようになってから、夜間練習のため、もしくは興味本位ならよいでしょう。

・  エレキヴァイオリンの性質
 エレキヴァイオリンと通常のヴァイオリンとの決定的な違いとしては、まず、ピックアップマイクからアンプやシグナルプロセッサなどを経由し、増幅された音を出力するということです。つまり、弓で力を込めて弾いても、弱く弾いてみても、ヘッドホンやスピーカなどを通して聞こえてくる音量はそれ程変化しません。この為に、ボウイングがまともに練習できなかったり、細かな表情を付けた音色の表現は難しいのです。エレキヴァイオリンを用いる場合は、ビブラートを強めに強調する、エフェクターで音色に凝ってみるなど、楽器としての性質の違いを考えて表現する必要があります。
 次に、共鳴胴が省かれてしまっているために、楽器の底側から首や鎖骨へと通じてくる振動は全く感じられません。これは正確な音程かどうか、和音が響いているかなどを判断するために重要な要素です。体全体で感じる音と、耳だけで感じる音との違いは、例えばコンサートの会場で聴くのと、その録音したものを聴くのとの違いを想像すればわかりやすいでしょう。神経質なくらい運指に気をつけておかないと、録音したものを聴いたとき、幻滅することになります。
 そして、女性や小柄な方の場合に問題になるのが、その楽器の重量です。例えばサイレントヴァイオリンの場合、割と大きな回路部があるのと、電池を内蔵して使用するために、重心が中央よりも体の側に寄っています。このため長時間練習していると、支えている肩や腕が疲れてしまいます。深夜にしか時間が取れないけど、どうしても練習しておきたい、というときには良いと思います。
 また、イヤホンやコードをつけて演奏することに、違和感を覚える方もいるかと思います。前もってコード類を一つに束ねておいて、気にならないように処理した方が集中できるかと思います。勿論、コードの長さに限界がある場合は、動き回りながら演奏したりすることは出来ません。これを回避するには、ワイヤレスマイクの要領で無線を使って音を飛ばす手法があります。

 そんなわけで、最初にサイレントヴァイオリンやエレキヴァイオリンを購入して、その演奏の感覚に慣れてしまうと、いざ通常の楽器に持ち替えた場合に、勝手が違って戸惑ってしまうことになるので、最初の一台としてはあまりお勧めできないのです。エレキヴァイオリン一本芸で終わるならともかく、基礎からヴァイオリンを学ぼうと思うのなら、最初は普通の楽器でちゃんとした感覚を養った後で移行するのが早道です。

・  その音量
 エレキヴァイオリンは、大抵のものは単体ではほとんど響きませんが、勿論完全に静かであるとは言いきれません。いくつかの種類を店頭で弾いてみた感想としては、イヤホンを通さない、素の音はサイレンサーをつけた普通のヴァイオリンといった風の音でした。
 ということは、普通の楽器よりは音量はかなり抑えられているのですが、それでも部屋の仕切りが薄い壁などの場合は、思いっきり弾くとわずかながら音が漏れてしまうでしょう。

・  セットに付属の弓について
 弓とケースのセットでも販売されていますが、専用ケースは良いとして、弓は曲者です。トータルの価格が大体5万円なので、弓は良くても1万円程度のものでしょう。この価格帯で入手できる弓は、まず良い品があるはと思えません。当たり外れはあるとは思いますが、決して期待しない方がいいでしょう。
 既に楽器と弓を1セット持っている場合は、本体のみの購入で充分です。予備の弓として置いておくという考え方もあるでしょうが、それが本当に予備としての使用に耐え得るのかどうかは疑問です。

・  二代目以降の楽器として
 既に通常の楽器を経験している方が、興味で購入する場合には問題はないと思います。
 当然音の直接の出力が可能なので、練習用だけでなく、ジャズやロック・ポップスなどのライブ向けの楽器としても使えるでしょう。なにより、普通の楽器よりも目立ちますし。
 出力を外部エフェクターへ通して、音色を歪ませたり音程を変えたりといったことも出来るので、シチュエーションに合わせて遊べる、面白い楽器になると思います。なにより外付けのマイクではなく、純正・特製のピックアップマイクなので、ノイズの少ない、良好な音質の音源として利用できると思います。
 サイレントヴァオリンでは、デジタルリバーブ(残響)のエフェクトを標準で内蔵しているので、もしかすると、多少の拙い演奏はごまかせたりするのかもしれません。

▼ 弓について
 ヴァイオリンは擦弦楽器、つまり弦を擦って音を出す楽器です。ので、楽器本体だけではピッツィカートのみの演奏か、ポンポンと手で叩いて打楽器として使うこと位しかできません。当然ご存知のように弓が必要です。

 練習用の楽器の場合はセットでついてくる場合が多いです。が、これも楽器の音を出す機構の一部なので、できるならいろいろなものを試してみて納得のいくものを選ぶ方がいいでしょう。

 弓にもいろいろあるようで、値段もピンからキリまであります。価格の違いは、棹の部分の材質や仕上げの違いに因るところが大きいです。楽器に見合った金額で、自分の体格に合った重さで、先弓から元弓まで均一な音が出るものを選びましょう。

 楽器本体の音質・音色・音の豊かさなどと比較して、あまりに貧相な弓だと楽器本来の力が発揮できません。無理に音を出そうとして体が強張ってしまったり、細かなニュアンスを再現するのに苦労したりします。この辺りの、楽器と弓とのバランスも重要な要素です。

 最近では、グラスファイバー製の弓が販売されているそうで、評判はなかなか良いとのことです。

▼ 分数楽器について
 自分達の子供に習わせたい、という方もいらっしゃると思うので、そういうときの楽器選びについても書いておきます。

 子供用の楽器は、大人用の楽器を全体的に小さくした形で、分数楽器と呼びます。3歳程度から始める人もいるので、サイズは1/16、1/10、1/8、1/4、1/2、3/4、4/4(フルサイズ)という風にずらっと揃っています。日本では他の国と比べると子供から始める人が多いせいか、小さいサイズの分数楽器が入手しやすいのだそうです。
 音に関しては、大人用の楽器と全く同じ感覚で演奏でき、音色も立派なヴァイオリンの音がします。

 ところで、この「サイズ」は規格のようなもので、実際に長さが1/10とかになっている訳ではないです。

 何歳だからこのサイズという厳密な決まりはありません。身長が高くても手や指の長さが違ったりするので、実際に楽器を構えてみないと、どのサイズが合うのか判りません。体格よりも楽器の方が大きい場合は、手を伸ばしてもネックの先まで届かなかったり、押さえる指が開かなくて音程が取れなかったりと、負担が掛かります。恐らく、逆の場合も同じような事が言えるでしょう。

 弓にもまた、分数楽器用のものがあるようです。おそらく、フルサイズ用では子供にとっては重たく感じるからなのでしょう。

 楽器選びでの最終的な決め手は、奏者であるお子さん自身が満足できる楽器かどうか、楽器そのものに愛着をもって続けられそうか、という点に掛かってくると思います。嫌な音色のする楽器でずっと練習するのは、その楽器に常に接することになる本人にとって苦痛でしょうし、その所為で楽器を嫌いになったら元も子もないと思います。

 分数楽器の値段の相場の方は、おそらくフルサイズのものと同じように、数万円から始まって上を見るとキリがないという状態なのでしょう。その辺りは、最初に全体の予算をしっかり決めておいて、それに合わせて選べばいいと思います。更に、小さい頃から習わせる場合、育ち盛りの子供の成長に合わせて楽器を買い換えていくのが、金銭的にも辛いかもしれません。
 楽器本体に限っての話になりますが、レッスン先で貸してもらえたり、少し年上の生徒さんからお下がりを譲ってもらう、ということが出来ればラッキーです。

 これは大人の方が習う際にも言えることですが、楽器購入のほかにも、定期的な楽器と弓のメンテナンス、消耗品の交換、レッスンの月謝などなど、細々とした費用が掛かります。そのため、あらかじめある程度の出費は覚悟しておいたほうがいいでしょう。

▼ まとめ
 まず一番大事なこととして、どんな楽器の場合でも絶対に自分の耳で聴いて、その選択肢の中で一番良い音と感じた楽器を選ぶ、ということです。試奏すらさせてくれない楽器店では買わないことです。
 また、一つの店で気に入った音のものがなければ、他の店にも通ってみるのも比較になって良いと思います。
 あとは予算内で、演奏者本人が気に入る音色のする楽器とそれに見合った弓、というのを選べばいいと思います。

 イタリアのどこそこの名匠が造った楽器だ、などという高価な楽器がありますが、名匠の作だから良い楽器とは限らないので、こだわる必要は無いと思います。名匠(例えばストラディバリ、アマティなど)のラヴェルを偽装している楽器というのもかなりあります。
 もちろん、弦楽器作りの名匠が沢山出ている地、というのはあります(イタリアのクレモナなど)。むしろ、そういう風に地方別で区分けするほうが良いのかも知れません。

 古い楽器ほどいい音がする、というのも幻想です。確かに、健全なまま数百年を生き延びた楽器の音というのはまた格別な響きがあります。
 しかしオールドではそういう楽器は一握りで、多くの楽器は過去に大きな病気や怪我をしているでしょう。そのときの修理が万全でないと、あとあとの楽器の音色にも響いてきますし、特にそれが大きな事故だった場合、元の楽器の状態に戻すのが困難であることが多いです。
 注意して見ていれば、そういう修理の痕跡にも気付くかもしれませんが、親切な楽器店であれば大きな修理があったことなどを前もって示してくれるでしょう。

 私見ですが、楽器本体のみで5万円未満のものには「ヴァイオリン」と呼べるものは殆ど存在しないのではないでしょうか。お試し用、として買うなら、まぁ悪くはない(しかし良くもない)かな、と思います。しかし、これから本格的に始め、続けていこうと考えているのならお勧めは出来ません。

■  その他必要なもの、あると便利なもの
わかる範囲で標準的な価格も併記しています。
▼ ケース
 いろいろな材質や形のものがあるので、好みによって決めてかまいません。が、楽器を保護するためのものなので、楽器を収納してある状態でぐらつきを感じるなら、持ち運びなどに支障をきたします。
 持ち歩く楽譜が多い場合は、少々かさばりますが角型のポケット付きのケースが便利です。

▼ 松脂
 その名の通り、松の木から取れる樹脂です。黒っぽいものと黄色っぽいものとがあります。黄色っぽい方が粒子が粗いです。
 毛の摩擦力を強めることによって、塗らない状態よりも更に弦を振動させ、ヴァイオリンとしての音を出すための重要なものです。

 粒子が細かく均一であることと、粘り気が多いわけでもなくサラサラし過ぎているわけでもない、この中間程度のもの、が良いとされています。
 種類の異なる松脂は混ぜては使わず、通常は1本の弓に対して1種類だけを使います。違う種類の松脂へ移行する場合は、毛換えをした直後の、弓に松脂が付いていない状態で行うのが良いとされています。
 毛換え直後の弓は、なかなか松脂が乗らなくて苦労するかと思います。この場合は、まず弓の先を柔らかい物において毛の側を上にして固定し、松脂を上から押し付けるようにして、元弓から先弓に掛けて万遍なく擦りつけます。この直後は付けすぎた状態になるので、同じく毛を上に向け、二・三回棹を腕などに振り当てて余分な松脂を落とします。

▼ 肩当て
 演奏の際、首と肩の間で支えやすくするためのものです。なで肩の方など、そのままでは支えにくいと感じた方は、これを付けると姿勢が楽になります。逆に、元々なくても大丈夫な体格の人が付けると、支えにくくなったり、落としそうで怖くなったりします。
 肩当てをつけると肩や鎖骨に直接音が響いてこないので、肩当て無しで演奏する場合と違って、どうしても音がくぐもって聴こえます。この現象は、和音の部分で顕著に違いがわかります。また、肩当てを付けると音色が変化するので付けない方がいい、という人さえいます。

 セットで付いてくる場合もあるかもしれませんが、決して楽器購入と同時に必要なものではありません。あったら付けたくなるのが心情ですが、初心者はこれを付けて弾くものだと思い込むのは間違いです。どう工夫しても支えられないという人だけが付ければいいのです。

▼ 音叉、チューニングパイプ(ピッチパイプ)
 これらは、楽器に4本ある弦を正しい音に調整するために必要です。
 音叉(おんさ)は、Y字型をしていて、ひざなどでたたいて振動させて用います。これは440Hz(A弦の音)で共鳴します。500円程度です。

 チューニングパイプは、吹きこみ口が4つある笛で、吹くとそれぞれの弦に対応する音(G・D・A・E)が鳴ります。700円程度です。欠点として、リコーダーなどの類似楽器を思い浮かべるとわかると思いますが、強く吹くと高い音、弱く吹くと低い音が出ます。また、チューニングパイプ自体が加工精度のよい製品ではなく、音程が正確ではない場合が多々あります。
 チューニングパイプには、ハーモニカのような音のする、リードタイプのものもあるようです。

 他に調弦時に使う音源としては、鍵盤楽器、クロマチックチューナー、調弦されたヴァイオリン(レッスンの時)、オーボエ(オーケストラの時)などがあります。横着して携帯電話の着信音を使ったりすることもあります。要は、正確な音程が出せれば何でも構わないということです。

▼ メトロノーム
 一定のテンポでクリック音(カッカッカッ…)やベル音(キーン)を出す振り子です。電子式のものもあります。
 電子式のものは、クリック音をイヤホンで聞けたり、細かいテンポ調節ができるという利点があります。ただ、このタイプのものは音が小さいものが多く、耳の傍で音の鳴るヴァイオリンには不向きだ、という意見もあります。
 昔からある振り子式のものは、張りが振れるのを目で見て確認できるので、指揮を見る練習にもなるそうです。

−  4. レッスン編  −
■  レッスンについて
自分に合った方法を見つける
▼ 教室の見つけ方
 習い事の情報誌や職業別の電話帳に、大抵数件は載っていると思います。また、楽器店やスタジオ・ホールに併設されている場合もあります。まだごく少数ですが、Webでページを開いている教室もあるようです。
 また、自分で探すほかに口づてに紹介、というパターンもあります。

(参考までに…僕の場合です。)
 僕は、地元にアマチュアオーケストラってあるのかな、と思ってWebで検索をかけていたら、偶然(?)にも見つかりました。初心者でも受け入れてくれるところだと伺ったので、思い切って入団希望で練習を見学に行きました。そしたら、弦楽器の場合は先生につくべきだと言われ、教室を紹介して頂くことになりました。

▼ グループレッスンと個人レッスン
 グループレッスンは、何人か一組でレッスンをします。パート分けをしてアンサンブルをしたり、あと発表会などのイベントもあるようです。
 教室にも因るのかもしれませんが、先生一人に対して生徒が複数なので、細かいところまで指導が行き届かない、という問題があります。また、複数名が同時に演奏・練習することもあるらしく、自分の音が聞き取りにくくなる、といったことも考えられます。
 楽器店に併設されている教室に限って言えば、それらの教室について、余りいい評判を聞いたことがありません。
 時間帯は、比較的自由に選べるようです。

 個人指導は、先生と生徒が1対1で向き合うので、当然同じ時間でも多くの意志疎通が可能です。そのため、上達はグループレッスンに比べて速いでしょう。一方で、先生との相性が合わない、とか、指導方法が自分と合わない、というトラブルがあるようです。
 また、受け持つ生徒が多い先生の場合は、希望する時間帯にレッスンが取れないということも、ままあるようです。

 どちらにせよ、自分の満足できる指導がされているか確認することは大事ですので、まず見学や体験レッスンなどの機会を見つけて、参加してみるのがいいと思います。

▼ レッスンの進み方(参考までに…僕の場合です。)
 僕の場合は、教本に従っていくつか課題を出され、レッスンのときに練習の成果を披露して現状を評価してもらい、できていない箇所にどうすれば良いのか指示を出して頂き、その部分は次回まで持ち越し、という風なやり方です。
 習う順序としては、まずボウイング(弓の使いかた)から、つぎにボウイングをしながら音程を正しく取る練習をしていきます。ある程度、音程が取れるようになったら、曲らしいものを弾き始めます。
 これは微妙に教室ごとに違うだろうと思います。個人指導か、グループレッスンかによっても違ってくるでしょう。
 
練習方法もご参考にどうぞ。

▼ 音楽の経験や知識は必要か?
 教室に通う場合は、楽器自体に関することは、普通は訊けばいくらでも教えてくれます。
 もちろん、楽譜の読み方についても教えてくれますが、自分で調べたい場合など、「楽典」という本を参考書として持っておくと何かと役に立ちます。

 上達するかどうかは、練習次第、これに尽きると思います。継続して練習しないと腕が落ちたのを身をもって実感するでしょうし、「正しい練習」を続けていれば着実に技術をモノにできるでしょう。センス云々より、その人の素質・性格がかなり重要だと思います。飽きっぽい人には向かないでしょう。

▼ 独学について
 僕の場合は、先生なしで上達するのは難しかったです。レッスンに通うまでは全く上達しなかったと言っても過言ではない程でした。
 まれに、独学でマスターする、天才と呼ばれるような人も居るようですが、基本的には誰かに習ったほうが上達は早いと思います。

 先生につくということの利点は、先生という第三者が客観的に欠点を発見・分析し、その対処法を一緒に探してくれる、というところと、どういうステップを踏んで技術を身につければいいかを知っている、というところだと思います。逆に、これらを自分でできる、もしくは周りの人がしてくれる、という人なら独学で問題ないでしょう。

−  5. 練習編  −
■  楽器のメンテナンス
練習の前にすること。
▼ 調弦
 まず、A弦を合わせ、次にA弦とD弦を同時に弾いてD弦を、そしてD弦とG弦を同時に弾いてG弦を、最後にA弦とE弦を同時に弾いてE弦、の順に合わせていきます。
 A弦は基本的に440Hzに合わせますが、楽団や曲目によってはこれよりも上下します。この調弦に用いる音程は、
音叉やチューニングパイプ、または他の楽器を用います。

 調弦を繰り返すことによって、が前方に倒れてきたり、ねじれたりするので、気づいたら表板の面に対して垂直になるように調節します。

▼ 弓
 練習前や練習中、音が小さかったり、かすれて来たりしたら、弓に松脂をつけます。弓を軽く押し付けながら、4・5回擦り付けます。
 松脂は付けすぎないよう注意します。付けすぎた場合、楽器の表面に松脂が飛び散り、そのままで放置すると楽器を傷めてしまいます。弓を軽く振る(ぶつけないように注意)と取れる、らしいです。僕の場合は少し付けすぎても気にせず弾いてしまいますが、練習を終えたあとはすぐに楽器を拭くようにしています。

■  正しい構え方
体が痛くならないような姿勢を作る
▼ 立って演奏する場合
 かかとをくっつけた状態から 左足を一歩前に出します。
 ややつま先方向に、体重が左右均等に掛かるように立ちます。
 左右どちらの肩も上げ過ぎないようにします。
 首・頭・脊椎が曲がらないように(真っ直ぐに)します。
 顎を引きます。
 その引いた顎を顎当ての上に乗せます。このとき、力を入れ過ぎないようにします。はさんで固定するのではありません。
 左足の上に楽器が来る感じで上半身を少しひねります。
 左腕は、ひじから人差し指までをまっすぐに伸ばします。
 右手は、あまり手首に力を込め過ぎないよう、楽に構えます。
 右腕全体が弓の一部だと思って操作します。

▼ 座って演奏する場合
 基本的には立って演奏する場合と同じです。
 背筋を真っ直ぐにし、無理の掛からないように構えます。

 きちんとできているか、できれば全身を映す鏡を使って、見てもらえる人がいればその人に手伝ってもらって確認します。自然な体勢で、姿勢正しく構えてください。 自分にとって無理が掛かる姿勢だと首やあご、肩、腰などを痛めます。

■  練習方法
日々練習するときの確認事項
▼ 練習の過程
 まず、楽器の持ち方を覚えます。次に、弓の持ち方です。持ち方がしっかり出来るようになれば、ボウイング(弓の動かし方)です。
 ここまでは、基本なので、手を抜かず時間をかけてしっかりとマスターします。
 ボウイングの練習を続けながら、音階や分散上昇・下降のメロディーを練習します。特に初めのうちは、長さが短い楽譜を重点的に、繰り返し練習します。教本では1つ1つの項目に意味があるので、単純に弾けるようになるのを目標にするのではなく、その意味を汲み取った上で練習するよう心がけます。
 例えば、スラーの練習、次の音符を予測して指を押さえる練習…などがあります。

▼ 右手・指
・  弓の持ち方
 親指と中指で、弓の、皮が付いている部分の少し手前(ねじのある方向)を、つまむようにして持ちます。親指と中指以外の指は弓に添えるだけで、ほぼ完全に力を抜き、決して握ってしまうことがないようにします。イメージとしては、弓を持つのではなく、弓を操作するという感じです。
 親指はなるべく曲げたり力を入れてしまわないようにします。小指は弓の軸の部分に指先を付けるようにします。

・  ボウイングの際の手と指の使い方
 常に、肘から先と楽器が平行になるようにします。
 ボウイングの際、元弓の所では上記の持ち方を、元弓から先弓に行くにしたがって小指・薬指を浮かせていきます。

▼ 右腕
・  弓の速さを調節する
 アップボウとダウンボウに掛かる時間を一定にします。

・  弦にかかる力を均一にする
 特に元弓は弓全体の重みが掛かるために、その分弦に圧力がかかってしまい、先弓と同じ具合に弾くと汚い音を立ててしまいます。そのため、元弓に近づいたときに少し弓を持ち上げるようにしてやり、逆に先弓では少し下向きの圧力を加えて、弦に掛かる圧力を一定に保ちます。
 また、どの弦を弾くかによって、弓に力を加える量は変わってきます。弦が太くなるほど、弦を振動させるための力を加える必要があります。

 ダウンボウのときは弾いていると自然に腕が伸びていきますが、アップボウのときはそうはならないので、積極的に腕を楽器の方向に近づけていきます。

・  弓全体を使って弾く
 元弓が一番表現力を豊かにできる部分なので、元弓の毛の付け根の部分から先弓の端まで、余さず使えるようにボウイングの練習のときに気を付けます。
 元弓や先弓の端のところで折り返すときに、弓を浮かせたり止めたりして、音が止まってしまわないように気をつけます。

・  音符の並びによって弾き方を変える
 2つの音符のスラーの場合、元弓から1/3の部分で最初の音符を、残りでもう次の音符を弾くようにします。
 細かい音符が連続している場合、元弓で弾くと雑音が混じりがちになってしまうので先弓の半分だけを使って演奏します。

▼ 左手
 まず、手のひらを自分の顔の方に向けて構えます。手首は曲がらないようにして、手のひらがネックにくっつかないようにします。
 親指と人差し指との間で挟んだり握ったりしないよう気をつけます。あくまで親指はネックを支える土台の役割をします。
 指を真下にしっかりと押さえられるように、親指を適宜動かして支える位置を変えます。しっかり押さえることによって、曖昧な音程が鳴らないようになります。
 自分の音をしっかり聞きます。間違った音が出たら、その時点での補正はしません。何小節か戻って、フレーズが完成するまでやり直します。

■  いろいろな奏法
音色の引き出し
▼ ピチカート
 弦を右手の指でつま弾いて演奏します。

▼ ヴィブラート
 最初は、親指を楽器の根元に固定したまま手のひら全体の力を抜き、そのままサードポジションの位置で薬指を前後に回転させるようにして、ゆっくりと掛かるよう練習します。
 慣れてきたら他のポジションで、親指と人差し指の股を支点にし、手の付け根から親指へ向かう直線を軸に、手のひらを回転させるようにして動かして音を揺らします。
 ただしこれは一例で、掛け方は人によってまちまちです。

▼ グリッサンド
 ポジション移動の際に、1の指で次のポジションでの1の指の音程を一瞬、正確に押さえてから次の音を準備する、という奏法です。ポジションの移動がやりやすく、正確になります。

▼ スタッカート
 音を半分ぐらいに切って演奏します。切ると言っても強引に止めてしまうのではなく、響きを残した上で短い音符と休符に分ける、という風な感覚です。

▼ ハーモニクス(フラジョレット)
 弦に軽く触れて、不要な倍音を断つことにより、澄んだ音色を出します。
 開放弦を弾きながらファーストポジションで3とか、サードポジションで4に触れさせて音を出したら出来ました。
 他の指を開放して、弦を一ヶ所だけ触れる、というのがポイントです。
 1の指を弦の終端代わりにして、他の指で同じ弦を触れて弾いてやっても、同様の効果が出ると思います。

参考資料
  
Open Your Strings Vol.2
■  楽器のメンテナンス
練習を終えてからすること。
▼ 楽器本体
・  お手入れ
 指板など左手を使った部分には手の汗や指紋、駒付近など弓が動く周辺には松脂が飛んでくっ付いたもの、という二種類の汚れがあります。これら二種類の汚れは性質が異なるので、汗や指紋の部分用と松脂用の2枚のガーゼハンカチ等を用意しておくか、折りたたんで裏面と表面で使い分けるとよいでしょう。楽器をケースにしまう前にはそういった柔らかい布などで優しく拭いておきます。このとき、あまり強く拭くと板が変形したりして楽器を傷めてしまいます。

 また、弦楽器専用のワニスクリーナーというものが売られています。これは白色でテレピン油の香りがする乳液です。小さい瓶で1000円ぐらいです。
 使い方は、放置すると分離しているので、よく振ってから汚れてもいいハンカチなどに少量取り、楽器に一様に塗り広げて、乾くまでやさしく拭きつづけます。
 これを使えば、こびりついた松脂などもある程度なら取ることが出来ます。ただ、楽器のニスと相性が合わないという場合があって、そういうクリーナーを使っているとニスが溶けてしまうそうです。不安な場合は、目立たない場所で試しておくと良いでしょう。

 日本のように湿気の多い気候の場合、なるべく湿気を避けて保管するようにします。湿気の多い梅雨期などは、練習中などで楽器を出している状態のときに、電子レンジなどを用いて乾燥させた新聞紙などをケースの中にしばらく入れておくと、適度な除湿効果があるのだそうです。そして、楽器をしまう際には、その時用いた新聞紙などは取り去ります。

 長期保存の場合でも放っておかずに、たまにケースを開けて楽器を取り出し、楽器とケース内外の空気を入れ替えておくのが大切です。

▼ 弓・弦
・  お手入れ
 弓の棒の部分にも松脂が付きます。毛の部分は拭く必要はないですが、弓の棒の、毛の側の部分に松脂が飛んで白く付着しているので、楽器本体と同じように拭いておきます。
 切れてしまった弓の毛は、引っ張って抜かずに、はさみ等で根元の部分から切っておきます。弓の毛は傷つくととても切れやすくなってしまうため、このときに刃物の刃が他の毛に当たらないよう気をつけます。
 弓はたるまない程度に緩め、弦は緩めないで保管します。

・  弓の毛換え
 頻繁に松脂をつけなくては音が響かなくなってくると、そろそろその弓の毛が寿命になってきています。また、弓の繊維のうち数本だけが緩んだり、切れてしまっている場合もあります。これもあまり目立つ様なら、寿命と考えて弓の毛換えをすべきでしょう。
 弓の毛換えは、およそ半年から一年ごとに行います。料金はだいたい五〜六千円程度です。

・  弦の張り替え
 音色が痩せてきたのを感じてきたら、弦に取り替えの時期がきたということになります。巻き線がはがれている状態に至ると、既に限界が迫っていると考えても良いでしょう。
 演奏する頻度にも因るとは思いますが、ガット弦は数ヶ月から半年に1度、ナイロン弦は1ヶ月から数ヶ月に1度、スチール弦は…割と長持ちするということですが、使ったことがないのでわかりません。

 E弦以外は、弦を張った後にしばらく伸びるので、張り替えるタイミングは、レッスンや一日の練習を終えた後にします。
 一気に全ての弦を張り替えるときの順序としては、一番伸びる量の大きいA弦を張り替えた後、しばらく安定させて(ガット弦で三日程度)からD弦、D弦が安定して(ガット弦で一日程度)から、G弦を張り替えます。前述のとおり、E弦はスチール弦のためほとんど伸びないので、いつ張り替えても大丈夫です。
 弦を一気に張り替えた場合は特に、駒が前に傾いてしまう場合があるので、なるべくなら一本張り替えるごとに傾きをチェックしておきましょう。

 さて肝心の張り替え方ですが、まず替えたい一本の弦だけを外し、新しい弦のテールピース側の終端を、テールピース(E弦はアジャスター)にセットします。次いで、ペグに空いている穴の径の大きい側から弦の先を通します。このとき、弦の先端をペグから1cm弱ほど突き出しておきます。そしてペグに弦を巻きつけていきますが、一回転目はペグを握っている側とは反対側に沿うように巻き、それ以降はペグを握っている側に沿うように巻いていきます。もちろん、弦が駒に付いている窪みにはまるよう、気をつけて作業します。
 弦を張って数日したら、弦が伸びてしまって、ペグが動かしにくい角度になっているかも知れません。そのときは、弦を緩めて外し、ペグから突き出ている弦の先端を、数mm出し入れしてから再び巻き、ペグの角度を調節します。駒が倒れてしまう危険性があるので、このときも必ず、弦を完全に緩めてしまうのは一本だけということを守るようにします。

■  音楽用語
詳細は楽典などを参考に。
▼ バイオリン譜特有の記号
・  音符の上の「V」・「Π」(のような記号)
 主にエチュードなどの譜面で記述されています。「V」は、その音符をアップボウで、「Π」はダウンボウで弾きます。

・  音符の上の数字
 指番号と言われるもので、その音符を左手のどの指で押さえて弾くのか、が記述されています。1が人差し指、2が中指、3が薬指、4が小指です。主に、ポジションを移動する際や、指遣いが解かりにくい場合などに書かれています。
 また、複数の音符を弾く間に継続して押さえつづける場合は、「 1───┐ 」などのように記述します。

・  音符の上の「G」「D」「A」「E」
 その音符以降を、それぞれ指定の弦を使って弾きます。弦によって音質が違うため、その弦の音質を強調したい部分に記述されます。

▼ 速度標語
 基本的なものの読み方と意味です。
・  速度の遅いものから順に挙げています。メトロノーム等には目安の数値が書いてありますが、特にどの標語が毎分何拍、という決まりはないようです。
 Grave[グラーベ] 重々しくゆるやかに
 Largo[ラルゴ] のんびりと
 Lento[レント] 緩やかに
 Adagio[アダージョ] 遅く
 Andante[アンダンテ] 歩く速さで
 Moderato[モデラート] 中くらいの速さで
 Allegretto[アレグレット] やや速く
 Allegro[アレグロ] 速く
 Vivace[ヴィヴァーチェ] 快活に
 Presto[プレスト] 急速に

・  その時点から、徐々に速度に変化を付ける標語です。
 rit./ritardando[リタルダンド] だんだん遅く
 rall./rallentando[ラレンタンド] だんだん緩やかに
 accel./accelerando[アッチェレランド] だんだん速く
 string./stringendo[ストリンジェンド] だんだん急き込んで

・  その時点で、すぐに速度を変える標語です。
 meno mosso[メノ モッソ] 今までよりも遅く
 piu mosso[ピゥ モッソ] 今までよりも速く
 a tempo[ア テンポ] 元の速さで(meno mosso/piu mossoで変化を付ける前の速さで)
 Tempo I(Tempo primo)[テンポ プリモ] 最初の速さで

 Rubato[ルバート] 好きな速さで

参考資料
  
JUN-MIDI:クラシックDTM入門 (連番未定)/テンポ用語集(基本編)

▼ 楽曲の形式
 クラシック楽曲の分類の、簡単な解説です。なかにはヴァイオリンとは関係なさそうなのや、説明になっていないものもありますが、取り敢えずの覚え書きということで。舞曲の種類が多いようなので、別枠にしてあります。
・  交響曲(シンフォニー)
 オーケストラのために書かれた最も大規模な楽曲。四つの楽章から成るものが多い。通常、ソナタ形式の楽章を含む。

・  協奏曲(コンツェルト)
 単数または複数の独奏楽器とオーケストラのための音楽。独奏者とオーケストラとの対話を特徴としている。
 独奏楽器が複数あるときは、合奏協奏曲とも呼ばれる。

・  交響詩(シンフォニック・ポエム)
 詩的・劇的な内容と、交響曲の表現形式が結びついた、オーケストラのための楽曲。単一楽章からなり、音詩とも呼ばれる。
 描写的な性格な楽曲が多い。

・  奏鳴曲(ソナタ)
 原則として複数の楽章から成る、独奏あるいは二重奏の楽曲。

・  ロンド
 主題を何度も反復し、その合間に異なる楽想を入れることによって、主題を強調する形式の楽曲。

・  フ−ガ
 二つ以上の旋律を同時に進行させる、対位法を用いて作られた楽曲。各々の旋律は互いに類似性を持ち、多声的に発展する。

・  前奏曲(プレリュード)
 導入的な性格を持つ、比較的小規模な器楽曲。独奏向けの楽曲もある。

・  序曲(オーヴァチュア)
 オペラやバレエ、組曲などの冒頭に奏でられる導入音楽。

・  組曲
 テンポや曲想が異なる小曲を連ねた楽曲。

・  小夜曲、夜曲(セレナード)
 夕べに愛する恋人の家の窓辺で、想いを込めてうたう歌、および奏でる演奏。

・  間奏曲(インテルメッツォ)
 演劇や歌劇の幕間に演奏する短い管弦楽曲。

・  即興曲(アンプロンプテュ)
 心に浮かんだままの楽想をまとめた様な、即興的な楽想に基づく小曲。即興演奏で作られた曲ではない。

・  幻想曲(ファンタジー)
 特定の形式にとらわれず、楽想を幻想的に展開した、自由な形式の楽曲。

・  奇想曲(カプリッチョ:未)
 気まぐれで即興的な曲。

・  無言曲(未)
 歌曲のような様式をもつピアノ曲。

・  夜想曲(ノクターン)
 静かで叙情的な雰囲気をもった、特定の形式を取らない楽曲。

・  狂詩曲(ラプソディ)
 物語的・叙事的・民族的な色彩の強い楽曲。

・  スケルツォ
 声楽曲から発達した、快活・早急なリズムや強弱変化などを特徴とする器楽曲。奏鳴曲や交響曲の第3楽章に用いられることが多い。

・  トッカータ
 鍵盤楽器という特性を生かした、即興的な自由さをもつ鍵盤楽曲。走り回るような旋律と力強い和音が持徴的。

・  練習曲(エチュード)
 器楽や声楽の基礎技術を習得したり、いっそう磨くことを念頭に置いた、特定の形式を持たない楽曲。

舞曲(配下、調査中です)

イギリス
 ジーグ(gigue) − 8分の6拍子。

イタリア
 ヴァーヌ(pavane) − 4分の4拍子。
 ガイヤルド(galliard) − 2分の3拍子。

ドイツ・オーストリア
 アルマンド(allemande) − 4分の4拍子。
 ギャロップ(galop) − 4分の2拍子。
 ワルツ(waltz) − 4分の3拍子。

スペイン
 シャコンヌ(chaconne) − 4分の3拍子。
 パッサカリア(passacaglia) − 4分の3拍子。
 サラバンド(saraband) − 2分の3拍子。

フランス
 クーラント(courante) − 2分の3拍子。
 ブーレ(bourree) − 2拍子。
 ガヴォット(gavotte) − 2拍子。
 メヌエット(menuet) − 4分の3拍子。

ポーランド
 マズルカ(mazurka) − 4分の3拍子または8分の3拍子。
 ポロネーズ(polonaise) − 4分の3拍子。

ボヘミア
 ポルカ(polka) − 4分の2拍子。チェコ・スロヴァキア、ボヘミア。

キューバ
 ボレロ(bolero) − 4分の3拍子または4分の2拍子。スペイン・キューバ
 ハバネラ(habanera) − 4分の2拍子。

ハンガリー
 チャルダシュ(czardas) − 4分の4拍子または4分の2拍子。

アルゼンチン
 タンゴ(tango) − 4分の2拍子。



−  付録  −
■  おすすめの練習曲
調査中です。しばらくお待ちください。
 メソッドにより、違ってくるとは思います。代表的な曲を挙げていく予定です。

■  音をできるだけ小さくするには
夜遅くの練習のときなどに気になる、音をなるべく小さくする方法について。
▼ ミュート(弱音器)もしくはサイレンサー(消音器)
 ミュート・サイレンサーには金属製のものとゴム製のものがあります。
 ミュートは、音を弱めて音質を変えるためのもので、「これをつけて演奏せよ」と譜面上に指定がある場合などに使用します。これに対しサイレンサーは完全に実用向けで、音を出来る限り押さえるために使います。
 どちらも基本的には、駒の振動を制限し、共鳴胴への振動を押さえることにより音量を小さくする、という原理です。

・  金属製のサイレンサー
 くし型をした金属の塊で、駒の上に乗せて使います。1500〜2000円程度で販売されています。重量のあるだけに効果があり、音量は半分から3分の1ぐらいの大きさになります。ただ、駒の振動のほとんどを吸収してしまい、表板での響きがかなり少なくなるので、音色はとても貧相になります。どうしても音量が出したくない場合にはお勧めです。
 これとは別に、駒に挟んで使うタイプのものもあります。これはゴム製のものと、ほぼ同程度の効果があります。

・  ゴム製のサイレンサー
 大きめのゴムの塊から伸びた二つの足が、駒を挟み込むような形をしていて、金属製のものには及びませんが効果はあります。消音後の音色は、楽器本来の音色を少し残したような印象です。
 しっかりと駒を挟み込んでいるので、楽器を逆さにしても駒から外れたりしませんし、もし過って楽器に落としてしまっても、柔らかいので楽器が傷つかないという利点があります。

▼ サイレントヴァイオリン
 通常の楽器と比べてある程度音量は抑えられています。しかし、重量や弓遣いによる表現力の乏しさなど、静粛性以外での問題点もあります。それらについて検討して、妥当と感じられるのであれば試してみる価値はあると思います。
 詳しくは、楽器選択の際の
サイレントヴァイオリンの項を参考にしてください。

▼ 弦
 弦はナイロン弦の方が音が小さく、ガット弦の方がどちらかというと音が大きいです。スチール弦は一番音が大きいです。しかし材質の性格からか、金属的な固い印象の音色になります。
 ナイロン弦には寿命が短いという欠点があります。ガット弦は長持ちするかわりに、湿度や温度変化に弱く、音程が狂いやすいです。また、梅雨時には切れやすいといいます。

▼ 部屋の防音
 防音室については、楽器店などで見積もってもらえばわかるんですけど、後付けで防音をするには結構な出費が掛かるそうです。程度にも因るけど、ヤマハの防音室(部屋の中に置く、一畳ちょっとの物置みたいなやつ)は確か40万円台からでした。
 個人的な印象ですが、防音室設置の効果はある程度あるのでしょうが、室内はかなり狭苦しいです。
 手軽にいくらでも音量を出せる場所としては、カラオケボックスがあります。管楽器の方なども利用されることがある、と言うのを聞いたことがあります。
 が、結局どの方法を取ったにせよ、それなりのお金は掛かります。

▼ まとめ
 楽器だから音が出るのは当然です。結局思いっきり練習するには、何とか時間または空間を作るしかありません。
 消音器をつけると、かなり音が押さえられます。これで僕は夜中の12時ぐらいまで練習するときもあります。

 屋外(広い公園)で練習してみたこともありますが、室内と違って音がほとんど響かず、それがとても不満でした。できれば屋内、最低限屋根のある場所での練習をお勧めします。
 ニスは直射日光を浴びると変質(日焼け)し、各板を繋ぎ止めている膠(にかわ)も高温になると変質してしまって接着力が大きく損なわれてしまうので、野外、特に晴天時の場合には楽器にも悪い影響があるでしょう。特に夏場の野外は楽器にとって辛い時期です。

■  消耗品を長持ちさせるには
メンテナンスで気を付けておきたいポイント
▼ 弦
・  E弦以外の弦
 巻き線の付いている弦を切る、という経験をする事はあまりないと思います。突然に切れる可能性としては、調弦中に高く調節しすぎて切ってしまう、というくらいでしょうか。
 経年的な変化によって切れる場合には、日々気を配って観察していれば、巻き線がほぐれてくるのですぐに分かります。

 長期間使わない場合や、楽器を輸送する場合には、全ての弦を緩めておくことは、楽器と弦に負担を掛けない、という点では効果があります。
 しかし、全ての種類の弦は、楽器に張っていなくても、放っておくだけで劣化し、音が悪くなってゆきます。特にガット弦は、羊の腸という「生物」が含まれるので、時間経過によって顕著に変化が現れてきます。
 そんなわけもあり、弦は信頼できるところで買わないと、仕入れてからかなり時間の経っているものが残っていて、運悪くそれを買ってしまった結果、寿命が短かった、という事態もあり得ます。

・  スチール弦(E弦)
 スチール弦の劣化に影響している原因として、手の汗などに含まれている塩分が考えられます。

 塩分そのものは、スチール弦の劣化(錆)には全く関係しません。しかし、例えば塩分として有名どころの食塩には、水分を吸着するという性質(=潮解性)があります。その力は強力で、空気中の湿気さえも吸着して保持してしまいます。そうして保持した水分が、結果としてスチール弦を錆びさせる原因となります。
 さらに悪いことに、塩分に吸着していた水分が全て蒸発したとしても、塩分は依然としてそこに居座り続けます。このため、二度三度と水分を弦に付着させているのと同じ事となり、継続して腐食が進むことになります。

 この現象への対策としては、練習の後は丁寧に汗を拭うことを心がけること、に尽きると思います。

参考資料
  
「さび」を科学する、のコラム

▼ 駒
 表板に対して、駒のテールピース側の面が垂直になっている状態が正常です。弦が一気に緩んでしまったり、アジャスターだけを使って音程の調節を行っていたりすると、徐々に駒の傾きが変わってゆきます。また、弦を緩めたり絞めたりを繰り返しているだけでも、駒の傾きやねじれが生じます。常に駒の歪みに気を配り、傾いたりずれたりしていればその都度修正する必要があります。

 駒の傾きは、ある程度なら自分で補正することが可能です。逆に、チェックを怠って放置していると、駒が歪んでしまって、修理が効かなくなったりしてしまいます。
 調整は、駒の根元をしっかり持って、ゆっくり少しずつ角度を調節するようにします。
 駒は薄い板ですから、修正・補正のときはあくまでも慎重に、少しずつ行わなければいけません。下手に強い力を加えたり偏った力を掛けると、駒が折れてしまったり、駒を倒してしまい表板を傷つけてしまったりすることがあります。自分で修正することに自信が無い場合は、楽器店に持ち込んで修正してもらいましょう。

参考資料
  (リンク切れ?)

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