■ 2000年9月2日 タイスの瞑想曲・聴き比べ
■ 2000年9月9日 初めての装飾音
■ 2000年9月16日 指が縺れる
■ 2000年9月17日 市民楽団の定期演奏会
■ 2000年9月30日 楽器ケースの防水処理
2000.09.02 土曜日 この一週間というもの、新しい楽器のおかげで寝不足が続いていました。ある日は、座って練習していて力尽き、楽器を抱きかかえるようにしてうずくまって眠っていたこともありました。気付いてすぐに楽器をケースに直しましたが、何ともなくて良かったです。もし楽器に体重が掛かっていたら、と考えるとそれはそれは恐ろしいことです。
という風に、楽器を触るのが嬉しくってたまりません。レッスンに行ったときには、表情で判ったのでしょうか、楽器の調子はどう?今週は沢山練習できた?と訊ねられました。
新しい楽器になってから、どうも調弦のときにペグが固い様な気がしていました。以前の楽器のペグは緩かったために、ペグの軸方向に押し込むような力を必要としていたのですが、新しい楽器の方はその力が不要になった為、前の調子で調弦するとペグが固くなりすぎたために、どうにも動かなくなっていたようです。単純にペグを回転させるようにすると、難なく調弦することが出来ました。
レッスンを始める前に、まず弓の持ち方で、指先に力を入れすぎないようにということを言われました。熱心に練習していると指に跡形が付くほど力んでいるときがある、という自覚があって、気付くたびに力を抜くよう気を付けていたので、これは少しずつ改善されてきていると思っています。
前回の課題ので、連続してダウンボウを繰り返すという箇所があるのですが、今回のレッスンでは、その技術をなんとか身に付けようと頑張っていました。これは、まずダウンボウで小さ目の弓使いで弾き、次に弓を元弓に置き直してからもう一度ダウンボウを使う、というものです。先生のお手本をじっくり観察し、頭で理解してはいたのですが、いざ自分で再現しようと思うとなかなか出来ませんでした。次回かその次くらいまでには出来るようになっておきたいです。
今回は、更に装飾音符についても教えて頂きました。徐々に演奏できる音符が増えていくことは、喜ばしいことです。
この日のレッスンの後、「タイスの瞑想曲」をもっとしっかり勉強しておこうと思い、心斎橋のOPAにあるHMV(CD専門店)に久しぶりに足を運びました。クラシックコーナーは他のジャンルとは違って、特別に仕切りがあって、なんとなく隔絶された印象がありました。
まず判ったのは、この曲は「タイス」という歌劇での間奏曲である、ということでした。最初は、楽譜に書いてあった、マスネという人で探していたのですが、オペラの全曲集しか見当たりませんでした。全曲集をその中の一曲だけのために買うのは、あまりにも勿体無さすぎるし、オペラだから、もちろんヴァイオリンソロ+ピアノ伴奏という形式ではなく、オーケストラなので、どうしようかと思っていました。
そんな軽い絶望の中、その仕切られた一角をぐるりと一周していると、「ヴァイオリン」のコーナーがあるのが目に付きました。探しているのは非常に有名な曲なので、ベスト版などのアルバムには入っているだろうと予想して、いくつかのCDを手に取ってみると、案の定、多くのアルバムに「タイスの瞑想曲」が入っていました。
そこで厳選した結果、それらのうち3枚を選んで購入しました。平均価格が1000円、という辺りで何を基準にアルバムを選択したのかばれてしまいそうですが、1枚目はスークというチェコ人の演奏、2枚目はアレクサンドル・マルコフというロシア人の演奏、3枚目は西崎崇子という日本人の演奏のものです。
家に着いて早速、それら3枚の「タイスの瞑想曲」を聴き比べてみました。
1枚目のスークさんの演奏は、音の出し方がしっかりしていて、音色を言葉で表現するのは難しいのですが、パキパキッとしたメリハリのある演奏でした。また、楽譜に極めて忠実に弾いている、という印象がありました。
2枚目のアレクサンドル・マルコフさんの演奏は、前述のスークさんの演奏のようにハキハキとした演奏ではなく、緩やかで柔らかな演奏だったのですが、その方が反って瞑想曲には相応しいかもしれない、と思えました。少し、楽譜をアレンジして演奏していると思われる箇所が見受けられましたが、そのアレンジも情感のこもった感じに仕上がっていて中々良かったです。
3枚目の西崎崇子さんの演奏は、はっきり言えばこのCDは買って失敗でした。まず、伴奏のピアノの音量の方が目立って大きいのです。次に、ヴァイオリンの演奏は、ピアノからフォルテに掛けての音量の違いがほとんどなく、その為に薄っぺらい演奏に聞こえていました。この曲だけが特別調子が悪かったのかなぁと思い、他の曲も聴いてみましたが、全部同じ調子でした。
というわけで僕の目指す演奏は、アレクサンドル・マルコフさんの演奏にすることにしました。もっと色んな人の演奏を聴き比べて、さらに良い演奏が見つかればどんどん参考にしていこうと思っています。そういえばレッスンのときに、先生が「自分の声で歌えないものが、楽器で弾けるわけがない」と仰っていたことを思い出したので、まずは、この人の演奏をダビングして、頭の中で回るくらい延々聴き続けようと思っています。
この他に、同じヴァイオリンのコーナーに、ヴァネッサ・メイさんという、シンガポール出身の女性ヴァイオリニストのアルバムがあったので、それも同時に購入しました。ヴィヴァルディの「四季」と、タルティーニの「悪魔のトリル」、そしてディズニー映画より「ムーランのテーマ」が入っていました。
このアーティストは、1999年の秋頃、知り合いから頂いたMDで初めて知りました。そのMDは、ポップスやロック、テクノなどの要素をふんだんに取り入れて、クラシックと融合させた、という作りの作品で、ヴァイオリンの音色がとても効果的に用いられていました。僕はこれを聴いた途端に、凄く気に入ってしまいました。しかし、それ以降探していたのですがずっと見つからない、という状況が続いていて、今回やっと偶然にも再会できたのは嬉しかったです。
さて、先生の第16回目のリサイタルが10月19日の木曜日にあります。西ノ宮駅前の建物にあるフレンテホールという所で、19時ちょうどに開演です。お近くにお住まいの方や、ちょうど予定が空いている方は、ぜひご来場ください。クラシックや楽器に興味のある方なら、きっと満足して帰路につくことでしょう。
前回は、クラシックについてなんの興味も持っていなくて、半ば嫌々ながら演奏会の会場まで行った、僕の母親や妹でさえも魅了させてしまうくらいの、素敵な演奏でしたから。
2000.09.09 土曜日 この日のレッスンでは、初めて装飾音を習いました。先生の指遣いはとても器用で滑らかでしたが、実際にリズムを取るのはとても難しそうだという印象を受けました。奏法のコツとしては、装飾音の部分は弓を僅かに動かす程度にするよう気をつけると良い、とのことでした。
装飾音を含んだ練習曲も課題に入ってきて、なかなか練習し応えがあります。ここぞ、というところの装飾が何気なくすらっと弾けるようになると、見た目にも軽やかな感じに映るだろうと期待できそうなので、これからが楽しみです。
新しい楽器についてですが、買い替える前の楽器と違い、弓が自然と楽に使えるので、無駄な力を抜いて演奏できていることが実感できます。素直に弾くだけで音が出せて、さらに、その音色が心地好いというのは嬉しいことです。前の楽器でもそうでしたが、今回手にした楽器はそれよりも更に、弾いていて楽しいと思わせる魅力があります。
楽器を購入することに限らず、良い演奏を聞いたり、本を読んだりなどといったことは、これからの練習に対する意欲を掻き立ててくれる良い刺激だと思います。忙しくってコンサートに行く暇すら取れず、休みの日は寝て過ごすので精一杯という状況ですが、今回の楽器購入でまた楽器へ向き合う機会も増えていくだろうと思います。
2000.09.16 土曜日 新しい楽器に鞍替えしてから、ペグの使い勝手が違っていたのでなかなか調弦が上手く行きませんでした。というのも、ペグのつまみの角度が悪かったせいで、ペグへの力の掛け方が難しくなり、ペグを回転させ辛くなっていたためでした。こんな場合は、弦を少し余分に、もしくは少な目にペグへ通しておいて巻き直し、ペグの角度調整をすれば良いのだそうです。
この他に、歯医者に行った直後でまだアゴに麻酔がかなり残っていた状態だったので、楽器から伝わってくる振動が分かりづらかった、という要因もあった所為かもしれません。この日は、特に最初の調弦がうまく行きませんでした。
先週から始まった装飾音なのですが、譜読みをするのが難しいです。装飾音のみを眺めていても、実際のリズムの取り方がさっぱり分からないのです。先生の例を聴いて、耳で覚えるようにすると、なんとかその場は真似をして弾くことが出来ましたが、次回同じような記号が出てきたときにちゃんと弾けるかどうかとなると、不安になります。
いろいろな装飾音の組み合わせのうち、特に弦をまたいだ音程が連なった装飾音では、弓遣いがかなり難解で苦労しました。指と弓遣いを合わせるのが苦手で、何度も慌てて指を縺れさせてしまい、これは復習が必須だと痛感しました。指と弓が変な風に連動して、どうしても異なった弦を弾いてしまいます。さりげなく正確に弾く、というのはなかなか至難の技です。
2000.09.17 日曜日 結局、練習にすら参加することの出来なかった尼崎市民交響楽団の第15回定期演奏会がありました。僕の予定が直前まで不定だったので、前日になるまで聴きに行けるかどうか判らないほどだったのですが、当日、なんとか時間を調整して行くことが出来ました。
先生と、同じ門下生の方をホールの前で待ち合わせていたのですが、駐車場が少し入り組んだところに位置しているために迷っていたそうで、少し待ちましたが、開場して少し経ってからの入場となりました。
演奏会には、僕に先生を紹介して頂いたセカンドヴァイオリンのトップの方も、もちろん参加していました。その演奏をじっくり見届けようという先生の提案で、一番前の中央、弦楽器の良く見える特等席に付きました。先生はこの日オペラグラスを持っていらしたのですが、一番前に座ってそれを使うと近すぎてどこを見ているのか分からないのと、流石にそんな間近で演奏者をじっくり観察するのは嫌味っぽく映るだろうということで、結局その出番はありませんでした。
この市民楽団の中にも、先生がお世話している人が何人もいるようで、一番前の砂被りのところで座っている先生を見つけ、一礼をしている方もいらっしゃいました。
演奏会の後で聞いた話ですが、そのセカンドヴァイオリンのトップの方は、先生が目の前に座って居るのを発見し、じっくりと観て、聴かれているのを意識していたらしく、非常に緊張していたのだそうです。
この日演奏された曲目は、指揮者である辻敏治作曲による「シンフォニエッタ第一番」の初演と、モーツァルトの交響曲第39番変ホ短調KV.543、そしてマーラーの交響曲第一番ニ長調「巨人」、でした。
演奏会の最中、先生はいろんな人の楽器の弾き方を擬視していらっしゃって、この人の弓使いはどうで、あの人は楽器の扱いがどうで、あの人のヴィブラートはどうで、などと指摘して教えて頂きました。そういう風に演奏を至近距離で見聞きして比較すると、様々な事を発見することが出来て勉強になりました。
オーケストラ全体を聴くためには、やはりもう少し後ろの席の方が良かったのかもしれませんが、今回のように弦楽器に的を絞って聴くには今回の席がベストだったと思います。
パンフレットには次回の演奏会の曲目が載っていました。その中の一つに、ドヴォルザークの「スラヴ舞曲第1番ハ長調
Op.46No.1」とありました。スラヴ舞曲は全集をダビングしたものを持っているので、家に帰ってから早速1曲目を聴いてみました。するとテンポは速く、しかも出々しから派手で、さらに聞き覚えのある割と有名な旋律だったので、これはひょっとすると大変な難易度になるかもしれないな、と感じました。もちろん曲自体は面白そうで楽しみなのですが、今回も練習に付いていけるのかが非常に気掛かりです。
これ以外の曲目は、ブラームスの「交響曲第3番ヘ長調 Op.90」、ドヴォルザーク「チェロ協奏曲ロ短調
Op.104」、でした。何故か、次回はドヴォルザークが2つもあります。これらも、原曲で良いものを色々と聴き比べて、しっかり身に付けていきたいと思っています。次回こそは舞台に立てることを期待して…。
2000.09.30 土曜日 レッスン前に自宅で練習をしていると、雨が降ってきことに気がついたので、時間が少しあったのでケースに防水加工を施すことにしました。といっても、防水スプレーを吹き付けるだけです。
というわけで、随分前に何かのついでに買って以来、そのまま部屋の隅に放置していたスプレー缶を持ち出してきました。楽器に掛かったりしたら一大事なので、もちろんケースの中の物はすべて出しました。そうして準備した後、ベランダに移動して、ケースを立てて置き、上から順に万遍なくスプレーを吹き付けてゆきました。
少々液ダレしながらも、表側も側面も裏側も…と、何とかほぼ全ての部位に塗り進め、最後はケースの底辺だ、と思ったところでスプレーの液が切れてしまいました。こんな小さなケース一つを処理するのに一本で足りないのか、と思うと少し腹立たしかったです。乾燥後、試しに水滴を二・三滴掛けてみて確認してみると、効果に関しては申し分ありませんでした。ただ、この撥水効果がいつまで持続するのか、というのは期間をおいて試してみないと分かりません。
ちなみに、僕の楽器ケースはナイロン製なので布用の防水スプレーが使えたのですが、皮製ケースの場合は傷んでしまいます。使わないようにしましょう。ただし、皮用の防水スプレーも、靴屋さんに問い合わせてみると見つかりそうな気がします。あと、塗付後は充分に乾燥させないと薬品臭が残るので、気になる方はしばらく陰干しをして乾燥させた方が良いかと思います。
後日談:今回は一気にスプレーを拭いたので、塗付中に液ダレして、さらに乾燥後には白っぽい跡が残ってしまいました。無論、実用には耐えますが、少しだけ見栄えが落ちてしまいました。僕はこういうのは全く気にしない方なのですが、気になる方は、一気に噴霧せずに何度も分けるようにすると幾分マシになるかと思います。これは、スプレー塗料など全般に言える基本ですが…。
さて、レッスンです。
課題の曲のうち、一つが何とかまともに弾けるようになってきたので、それを先生と合わせて弾きました。僕が旋律になる部分と、逆に僕が伴奏役になる部分とがあるのですが、気を付けていないとずっと一本調子で弾いてしまって、伴奏の音量が旋律を邪魔してしまったりすることがありました。それでも、自分ではお互いの演奏に耳を傾けながら合わせている、という感覚を掴み始めてきた、と思っています。
装飾音はほとんど練習していなかったのですが、レッスンしながらその場で練習する、という風な具合でなんとか進めていくことが出来ました。
それにしても、装飾音は色々な記述方法があるものです。改めて教本を一覧してみると、如何に似たような記号が林立しているかわかります。しかも、どう考えてもそんな音符と変換出来るとは思えないようなものもあったりして、紛らわしいことこの上ないです。初見で弾くことなど当分無いだろうと思いますが、いきなり出てきたらきっと混乱してしまうでしょう。
タイスの瞑想曲のCDの演奏をある程度聴いてみて、その演奏の通りになるよう試しに楽譜へ書き込んだので、それをレッスンに持って行って先生に見て頂きました。参考にしていたアレクサンドル・マルコフさんの録音では数箇所装飾を付けたり、連譜の最初の音を伸ばしてゆったり聴かせたり、といったことをしていました。しかし先生曰く、それはその奏者が原曲を勝手にアレンジしたもので遊びが多く、本来の曲のイメージとは忠実ではないので、そのまま真似をするのは止めた方が良いとのことでした。
僕が以前比較した3枚のアルバムのうち、先生の推奨はスークの演奏なのだそうです。今一度、ダビングして聴き直してみようと思っています。