■ 2000年8月6、13日 小指
■ 2000年8月15日 東京にて
■ 2000年8月17日 北海道にて
■ 2000年8月19日 タイスの瞑想曲
■ 2000年8月26日 新たなる出会い
2000.08.06 日曜日、2000.08.13 日曜日
あまりにレッスンの進展が少ないので、二週分をまとめてしまいます。
まず弓ですが、弾き終わりに圧力を加えてしまう、という癖がついてしまっていました。言われて初めて気付いたのですが、改めて聴いてみると、音符の最後の部分のみが妙に強調されるという、かなり不自然な弾き方でした。
次の癖は、左手の指です。小指を使うときに手首を曲げてしまっていて、正確な位置を押さえることが出来ていませんでした。「小指は音が取りにくい」という先入観があったせいなのか、小指を押さえるときだけ動揺し、慌てて押さえていたのでした。小指を押さえるときも他の指のときと同じように、親指の角度を少し変える程度に考えて、手首を曲げることのないよう気をつけるように、とのことでした。
無意識に、もしくは変な先入観の所為かも知れませんが、変な癖がついてしまっていて、それがなかなか取れずに苦労してしまいました。これ以上酷い状態にならないように、自分の問題点を整理して、常に把握しておく必要があると感じています。
2000.08.15 火曜日
今週の頭から車で旅行中です。この日は、夕方過ぎに東京に到着しました。拙ページ経由で知り合った友達とお話しよう、という軽い気持ちでした。しかしなんと、知り合いの下宿でよければということで、宿を提供して頂けることになりました。この日も車で野宿、と考えていたのでこの提案は本当に嬉しかったです。
楽器と楽譜立ては持ってきていたのですが、慌てて準備して出発してきたので肝心の楽譜を持ってくるのを忘れてきてしまいました。そういうわけで、その方の昔使っていたという楽譜を持ち出してもらって、弾けそうな曲を見つけてみようということになりました。といっても、僕が初見で弾けるような曲はなく、楽譜を忘れてきたことを本当に後悔しました。
結局、発表会で弾いた曲を思い出しながらたどたどしく弾いたり、その友達が今までに弾いたことのある曲を聴かせて頂いたりしました。その間も、僕はいろいろと楽譜を開いて弾けそうな曲を探していて、その中の一つにマスネ作曲の「タイスの瞑想曲」という楽譜を見つけました。この曲は、僕自信は、俗っぽいという理由であまり好きではない曲だったのですが、いざ冒頭の部分を弾いてみるとなんとも弾きやすい曲だということがわかりました。弾きやすいと感じたのは「スラヴ舞曲」のレベルと比較しているからかも知れません。
全部を弾き通せるかどうかは疑問でしたが、楽譜をコピーさせて頂いて持って変えることにしました。耳触りも良く、誰もが知っている有名な旋律なので、こんな曲も一つくらいレパートリーに持っていても良いかなぁ、と思います。
その他にも、この後予定している道中での名所を教えて頂いたり、いろんな音楽を聴いたり、少し恥ずかしかったのですが拙ページを見たりして、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。
また、この夜は、久しぶりに屋根のある広い空間で睡眠をとり、疲れを取ることが出来ました。この場を借りて、改めてお礼を申し上げます。
次の日の朝、宿を提供して頂いた友達のお二人は出勤、僕は更に旅を続けるということでお別れをしました。次の目的地は北海道です。早くも、大自然の中ヴァイオリンを弾く、そんな素晴らしい光景が目に浮かぶようでした。僕はその日のうちに青森まで辿り着き、フェリーに乗り込みました。
2000.08.17 木曜日
北海道の夜はとても寒かったです。半袖に短パンという、関西では普通に見られるラフな格好でコンビニまで買い出しに行ったら、今は冬かと思うほど寒気がしました。北海道内を案内して頂いた友達によると、九月にもなると早くもストーブが必要になってくるのだそうです。広大な田圃が広がっているのどかな風景で、空気もとてもおいしいのですが、寒がりで冷え性の僕には絶対に暮らせない土地だと身を持って感じました。
しかし、そんな夜空に瞬く星は、これまで見たこともないくらいに美しかったです。やはり、空気の綺麗なところで見る満天の星、というものはなんとも言えない感動がありました。
翌朝、強い日差しで目を覚ますと、運良く快晴で、綺麗な青空が広がっていました。夜は冷え込みましたが、夏の盛りだけあって太陽の照り付けは、朝方にもかかわらずとても厳しかったです。
この日はほぼ終日、観光していました。前述の案内役の友達を夕張郡まで迎えに行き、その後すぐに僕の希望していた立寄り地である小樽へと向かいました。そこは、流石に夏休みだけあって観光客でごった返していました。斯く言う僕もその中の一人だったのですが。
小樽には「小樽オルゴール館」という建物があって、気がつくと何かに引かれるように足を運んで、中に入っていました。
せっかくなので、僕の予算の届く範囲でなにか良いものがないかと、広い館内をくまなく歩いて探してみました。安いものは、最近のポップスや唱歌などで、割と良く見かけるものが多かったです。壁掛け式で、紐を引っ張ると音が流れるという風なものもありました。高いものになると、大きなドラム式のものでクラシックの曲が数曲入っているものがあったりして、値段に相応しい美しい音色を奏でていました。展示では、レコードのように円盤を回転させて音色を奏でるものや、装飾を凝らしたアンティークなものなどがありました。
そうしてしばらく館内をうろついていると、「手作り用」として剥き出しのオルゴールが大量・無造作に陳列されている一角を見つけたので、早速片っ端から耳に当てて聴き比べました。しかし、僕の好みの曲ではなかったり、ドラムが小さい為に演奏時間が短いという制限があって旋律の途切れ目が目立っていたり、なかなか決め手となるようなものに巡り会うことが出来ませんでした。
ひたすら聴き続けてやっと探し当てたものが、ラベルに「ムーンライトソナタ」と書かれていたオルゴールでした。初めて聴く曲だったし、作曲者名が書かれていなかったので詳細はわかりません。この曲は、曲の終端・始端の繋ぎ目部分がわかりにくく、また原曲が良いのも手伝って、しばらく連続で聴いていても飽きないという良い一品でした。とても気に入ってしまったので、すぐ購入してしまいました。
気がつくと、結局一時間くらい、そこでオルゴールの音色を楽しんでいました。オルゴールの音色が好きな人にとっては、「小樽オルゴール館」は、かなり楽しめる場所ではないかと思います。
肝心のヴァイオリンの演奏ですが、楽譜も持ってきていなかったのもあって、日が沈んで暗くなって目立たなくなってから、まだ観光スポットになっていない、小樽運河の北側にある人気のない広場で少しだけ演奏しました。やはり、持ち曲が少ないのと楽譜が持ってきていなかった、というのは痛かったです。綿密に準備をしておくべきでした。
今回の旅行では、準備不足だったのと思ったよりも時間が取れなかったのとで、練習することはほとんど出来なかったのですが、良い思い出を沢山作ることが出来ました。
2000.08.19 土曜日
旅行帰りで、一週間がとても長く感じられたため、久しぶりのレッスンといった感じでした。旅先に楽譜を持っていくのを忘れてしまってほとんど練習できなかった上に、五日間ほぼ不休で車を運転しつづけていたという状況もあって、体調と精神状態は絶不調でした。そんな状態にもかかわらず、この日は何故か演奏の調子が良いという感触がありました。
意識が朦朧となった状態でレッスンを受けていたので、あまり今回のレッスン内容のことは詳しく覚えていません。なんとか次の項目へと駒を進めることが出来たことと、気を付けるべき部分で割ときちんと配慮できていたようだ、ということだけは記憶に残っています。
レッスンとは別に、先日の旅の途中で友人に頂いた「タイスの瞑想曲」の楽譜を持っていって、教えてもらいました。先生に楽譜を見てもらうと、あらかじめ自分で指番号を振っていた箇所はおおむね問題が無くて、ポジション移動をする場所と、スラーの掛かり方、あと音程が一つ間違っている音符があった、という根本的な項目に修正が入ることとなりました。
後日、この修正の入った楽譜を弾いてみると、先生のお手本の直後だから目と耳が覚えていた、というのもあったのでしょうけど、とても弾きやすく感じました。来年の発表会に間に合いそうなら、この曲を発表会で演奏する曲の候補としても良いかな、とも思っています。
2000/08/26 土曜日
レッスンは例によってあまり進みませんでした。音程の取り方、特に小指が全く出来ませんでした。なぜかファーストポジションの人差し指の音も取れなくなっていました。先生曰く、指が暴れてしまっているとのことでした。慌てないで、大きな動きをしないように気を付けましょうと言われました。演奏に必要な最小限の動きを考えながら練習すると良いそうです。
レッスンが終わった後、以前からずっと気になっていたG弦を替えてもらうことにしました。見た目にも茶色っぽくなって巻き線も擦り減っているし、他の弦と比較して音色もへたってきています。弦の交換は職人さんに依頼しました。
弦の交換と同時に、職人さんに楽器の調整をして頂きました。前後で弾き比べてみてもあまり違いは判らなかったのですが、がりがりと鳴っていた音を抑えてくれたのだそうです。
レッスンを隣室で聴いていたその職人さんが言うには、レッスンのときには緊張してしまって肩に力を入れて弾くという癖があるので、それをなんとかするべきなのだそうです。自分の部屋で弾いているような位のつもりで弾く方が一番だそうです。
一応、体が固くなっていることに気がついたら、深呼吸したり伸びをしたりしてリラックスするように心がけているのですが、やはり「成果を見せたいから、頑張って弾かないと」という気持ちが先に出てしまいます。精一杯集中しながらも緊張を解いて演奏する、というのはなかなか難しいです。精神的なゆとりも欲しいところです。
新しい弓が入荷していたので見せてもらうことにしました。以前から話だけは聞いていたのですが、実際に触るのはこの日が初めてでした。ということで、早速並べて試してみることにしました。予算的に余裕があったので、魅力的な弓があれば買ってもいいかなという気持ちでした。
しばらくどれが良いのだろうかと迷っていると、職人さんから他の楽器でも試して比べたらどうか、と提案があったので、棚から出してくれた楽器で引き比べてみました。いろいろな組み合わせで試してみたのですが、楽器によって合う合わないがあったので、どれが一番良いというのは決めがたかったです。6本あった弓は、最終的には3本にまで絞れたのですが、そこから先の違いは微妙なものでした。
以前からずっと気になっていて、目をつけていた楽器があって、将来絶対に入手しようと考えていました。だから、どうせならその楽器に合った弓を選ぼうということになりました。
ずっと前その楽器を触ったときは、音色が豊かで幅があり、楽器全体の響きが全然違うのがわかるほどでした。僕好みの音がしていて、一気に惚れ込んでしまいました。それから随分と経って今回再会したわけですが、音の嗜好が変わって全然好みではなくなっていたらどうしよう、という一抹の不安は弓を軽く付けて鳴らしてみるだけで吹き飛びました。やはり惚れ惚れするような良い音色でした。
先生がその絞り込んだ3本の弓を順に弾いてくれて、やっと一番楽器に合いそうだと思う弓が決まりました。そこで、予算が許せば買おうかなという運びになったのですが、そこで職人さんから待ったが掛かりました。
今の楽器に対して弓を替えたところで、さほど音色が変わるわけじゃないから、同じ予算内で弓ではなく楽器を買うべきだ、ということでした。僕はそれだったらその「以前からずっと気になっていた楽器」の購入を検討してみようと思い、少し見積もって頂きました。今の楽器は引き取ってもらうことにして、諸々の値引きをして頂いて、差し引きすると丁度100万円になりました。
ちょっと高い買い物なので、少し、5秒くらい悩みましたが、その音色の魅力に比べると別に高いとは感じなかったので、購入に踏み切りました。しばらくは倹約して過ごす日々が続くだろうと思っていたのですが、よく考えたら切り詰めて生活することにすっかり慣れてしまっているので、それほど辛くはなさそうです。
その楽器は、僕の今まで使っていた楽器よりも響きが良いので、音の出し方、弓の使い方を楽器にあわせて変えていく必要がある、と言われました。試してみて、今までよりもっと力を抜いてもすんなりと音が出る辺り、感動を覚えました。
購入後、以前の楽器を棚に直すのを見ていて、さっき替えたG弦が無駄になっていることに気がついたので、取り外してもらって予備の弦として確保しておくことにしました。
この日は、家に帰ってから寝るまで、ずっとこの新しいヴァイオリンを弾いたり眺めたりして悦に入っていました。これからは、この楽器に見合った腕を見に付けることに専念しようと思います。